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なぜ「難しい分野」を別枠で扱うのか
石油使用の削減は、すべての分野で同じ速度で進められるわけではありません。自動車、包装、農業、船舶などには段階的な代替策が見え始めています。一方で、航空と鉄鋼は、単に「電気に替えればよい」とは言いにくい領域です。
ここを無理に楽観視すると、提案全体が軽く見えてしまいます。むしろ難しい分野を正面から認め、そのうえで削減の順番と現実解を示すことが重要です。
削減しやすい領域から進め、難しい領域には時間と技術を集中する。
航空:軽さとエネルギー密度の壁
航空機は、空を飛ぶために「軽さ」が絶対条件になります。重いバッテリーを大量に積めば、飛ぶためのエネルギーがさらに必要になる。ここに、地上の自動車とは違う大きな壁があります。
SAF、合成燃料、水素、短距離電動機など、選択肢は複数あります。しかし現実には、長距離・大型機を一気に脱石油化するのは簡単ではありません。だからこそ、まずは短距離・地上設備・運航効率から削減を積み上げる発想が必要です。
鉄鋼:燃料ではなく工程そのものの壁
鉄鋼の難しさは、単に工場で燃料を使うからではありません。鉄をつくる工程そのものが、高温熱と還元反応に深く関わっているからです。特に高炉では、コークスが熱源であり、同時に化学反応の役割も担っています。
水素製鉄や電炉の拡大は重要ですが、電力の質、コスト、原料、製品品質の課題が残ります。鉄鋼は、社会インフラの基礎でもあるため、急激な制限ではなく、技術移行と産業維持を両立させる必要があります。
結論:最後に残る分野を見据えて、今できる削減を進める
航空と鉄鋼は、石油削減・CO2削減の最後の壁になりやすい分野です。しかしそれは、手をつけなくてよいという意味ではありません。むしろ、すぐに変えられる部分と、長期投資が必要な部分を分けて考えるべきです。
- 短期:効率化・省エネ・既存設備の改善
- 中期:代替燃料・電炉・再生素材の拡大
- 長期:水素、合成燃料、次世代製鉄などの本格化
難しい領域を認めることは、後ろ向きではない。現実的な改革の出発点である。