各論 8-2

鉄鋼分野の現実解

― 高温熱と製造工程をどう変えるか ―

鉄鋼は社会インフラの基盤であり、同時に脱炭素が難しい分野です。高炉、電炉、水素製鉄、建築側の需要変化を含めて、現実的な転換を考えます。

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鉄鋼は、社会を支える“重い基盤”である

鉄鋼は、建物、橋、鉄道、船、機械、自動車、発電設備など、社会のあらゆる基盤に使われています。だからこそ、単純に「減らせばよい」とは言えません。必要な鉄を安定して供給しながら、製造時の石油・石炭依存とCO2排出を減らす必要があります。

鉄鋼の難しさは、燃料だけではなく、製造工程そのものにあります。特に高炉では、コークスが高温を生み出すだけでなく、鉄鉱石から酸素を取り除く役割も担っています。

鉄鋼の脱炭素は、燃料交換ではなく、製造原理そのものの転換に近い。

電炉・水素製鉄・再生素材の可能性

鉄鋼分野には、いくつかの現実的な方向があります。スクラップを活用する電炉は有力ですが、すべての品質・用途をまかなえるわけではありません。水素製鉄は大きな可能性を持つ一方で、安価で大量のクリーン水素と電力が必要になります。

  • 電炉:スクラップ活用に強いが、原料品質と電力が鍵
  • 水素製鉄:将来性は大きいが、水素供給とコストが課題
  • 再生素材:建築・製造の設計段階から回収しやすくする必要がある

建築・インフラ側から需要を変える

鉄鋼の使用量を減らすには、製鉄所だけに改革を求めても不十分です。建築物の設計、都市インフラの更新、材料選択、長寿命化、再利用しやすい構造など、需要側の工夫も必要になります。

たとえば、重量鉄骨に頼る構造ばかりを選ぶのではなく、木造、混構造、既存躯体の活用、解体時の再利用を前提とした設計を広げる。これは、以前の「建築物の炭素税」や木造優遇の発想とも接続できます。

鉄鋼の結論:産業を守りながら、使い方を変える

鉄鋼は、日本の産業力そのものに関わる分野です。急激な規制で国内製造を弱めれば、雇用や安全保障、インフラ更新にも影響します。必要なのは、鉄を敵視することではなく、鉄の作り方と使い方を変えることです。

鉄鋼を減らすのではなく、無駄な鉄を減らし、必要な鉄をより低炭素につくる。