人口が減る国のインフラは、どのように縮小すべきか
日本ではこれから先、人口減少がさらに進んでいきます。
出生率がすぐに回復し、人口が再び増加へ転じる可能性は高くありません。
つまり私たちは今、「人が増え続ける前提で作られた国」を、「人が減っていく国」として維持していかなければならない時代に入っています。
しかし、日本のインフラはまだ“拡大時代”のままです。
全国に張り巡らされた道路。山奥まで続く水道管。人口減少が進む地域にも維持され続ける上下水道。老朽化していく橋、トンネル、送電設備。
これらは、人が増え続ける時代には必要な投資でした。しかし人口が減る時代には、「広がり続けたものをどう維持するのか」という、新しい問題へ変わっていきます。
特に深刻なのが、道路と水道です。
道路は、作る以上に維持費がかかります。豪雨、積雪、地盤沈下、崩落。日本の地形は厳しく、地方へ行くほど維持コストは高くなります。
しかも今後は、自動車に乗る人口そのものも減少していきます。ところが道路財源である自動車税や重量税は、その車社会によって支えられてきました。
つまり、「使う人は減るのに、維持費だけは増え続ける」という状態が起き始めています。
それにもかかわらず、人口減少時代にそぐわない大型道路計画や、拡大型の都市整備が続いている地域もあります。
もちろん必要な道路はあります。災害対策上、物流上、医療上、絶対に必要な道もあります。
しかし今後の日本では、「どこまでを維持し、どこからを縮小していくのか」という視点を避けて通れません。
そして、さらに難しいのが水道です。
道路は最悪、細くすることもできます。舗装を簡易化することもできます。しかし水道管は、地中に埋まっています。
更新には莫大な費用がかかります。しかも人口減少で利用者が減れば、水道料金収入も減少します。
つまり、「利用者が減るほど、一人あたりの維持費が上がる」という構造になっているのです。
これは、地方だけの問題ではありません。
全国で老朽化した水道管の更新が必要になっており、今後は都市部ですら維持費の増大が避けられません。
だからこそ日本は、そろそろ本気で考えなければならないのです。
“全国どこでも同じインフラを維持する時代”を、この先も本当に続けられるのかを。
もちろん、これは単純な「地方切り捨て論」ではありません。
全部を守ろうとして全部が壊れるより、守る場所を整理しながら、生活そのものを維持していく。その視点が必要なのだと思います。
例えば今後は、医療、学校、スーパー、公共交通、行政機能などを、一定エリアへ集約していく「コンパクト化」がさらに重要になっていくでしょう。
移住支援や空き家活用も必要です。高齢者が暮らしやすい集住エリアも必要になります。
一方で、「それでも山で暮らしたい」「自然の近くで生きたい」という人たちもいるでしょう。
その生き方自体を否定する必要はありません。
ですがその場合、これからは“完全な行政依存”ではなく、ある程度の独立性も求められていくのかもしれません。
例えば、井戸水、雨水利用、小規模発電、蓄電池、小型浄化設備、地域単位のエネルギーなどを組み合わせながら、「都市ほど便利ではないが、暮らしていける地域」を作っていく。
それもまた、人口減少時代の一つの生き方です。
日本はこれまで、「成長する国」「拡大する国」としてインフラを作り続けてきました。
しかしこれから必要なのは、「どう拡大するか」ではなく、「どう壊れずに縮んでいくか」という発想なのかもしれません。
人口が減る国では、“縮小”は敗北ではありません。
未来へ着地するための設計です。